好きさ好きさ好きさ

にやけた顔がもどらない。
「うれしそうな顔しちゃって、どうしたの」
そんなこと言わないで。
理由いえない。

私は信じている。
私にしか言わないんだって、その嫌だった事とか。
私は慎重に言葉を選んで返している。
私はそれだけで幸せだ。

恋だとか愛だとかめんどくさいと言うけれど
彼以外のことはすべて面倒なだけだ。

あぁ、届かない。この手に入れることができない。
近いのに遠い。
心の中が思わず唇からこぼれそうになっていたあのころとは少し違う。
「それなり」に関係を楽しめる。
それなりに今のこの距離感が心地よい。

ふざけてじゃれあう猫みたいでいい。
いいの、今はこれで。

わたしは心を全部開放した。
何もかも委ねて、最後の居場所だ。
君のいる空間はわたしの最後の居場所だ。
どこまでもいつまでも続け。

一生背中を眺めることになっても
ずっと私の前を歩いていてほしい。
いつかその手がわたしの手をつかむのを待っている。

欲情

なにもかもが心地よい。
久しぶりにきく声がBGMより強くやさしく、わたしの心をほぐしていった。



おぉ、ロミオ。なぜ、あなたはロミオなの。

そんな台詞をため息と一緒に吐き出したい気分だ。私が想うのはこの人だけだ。
凝り固まった頭の中、汚れきって呼吸困難な心の中全部綺麗になった。
元気の源?私が私に戻る時間?

わからないけど、わたしにはとても必要な人で、いつまでも言葉を交わしていたい。何も望むものが生まれないとしても、私が全部のスイッチをOFFにしても煌々としていられる。

周りがなんと言おうと、わたしには必要なんだ。


周りが問題とすることをわたしは問題としていない。

言葉で表現するならわたしは妹のような存在なだけで、SEXをしたのに、とかそんなのはなんの問題でもないのだ。はじめから愛だとか恋だとかそういうものは超越して人として好んでいるのだ。

当時繰り返し思っていた「あきらめない」という感情はもうない。
あきらめないのではなく、ただそばにいたいからわたしからそばにいくだけだ。

細い肩も、襟刳りからのぞく白い肌も、大好きな手の形も
わたしから手繰り寄せれば一気にこの胸に抱くことができる。

触れたい。
あのころのようにとは思わない。
ただ触れたい。

それ以上をのぞまぬ覚悟はできている。
それ以上をのぞまぬような距離感でときどき触れ合えればいい。


でも、やっぱり、大好きなんだ。
苦しくなるほどの想いではない。じわーっと温まるこの感じが必要で必要で。
わたしのすべてを潤すひとつのアイテムとして、人として。
最後なんて考えず、

目も声も、ちゃんと向き合ってくれるその体全部がほしい。

大好きなんだ。

からだは動き始めた。

でも私は笑わない。泣く事もしなくなった。
生きているのが楽しいなんて思わなくなってきた。

いつもわたしは何で満たされ潤っていたのだろう。そんなことも忘れてしまった。
人恋しいかと言うとそうでもなくてただわたしは動くからだをもてあまし、遠くまで歩く。
不慮の事故にあってぽっくり逝かないだろうか、通り魔に刺されたりしないだろうか淡く期待をして遠くへ行く。

このまま、誰も気付かないでこの世から消えてしまいたい。
誰にも知られぬまま・・・

そんなことが悲しいと思わなくなった。

私に相応しい場所なんてない。相応しい人も居ない。
みんないつのまにか楽しくやっていて、いつのまにか幸せになっていく。
そして私は忘れられていく。

どこまでこの世に依存すればいいかって、どんだけ自分の力であるいてないかってそんなのわかってるけどなんだかんだ人はひとりで生きていけないって今更実感している。
うわべでは口先だけでは言うのは簡単だ。「実感」している人なんて存在しない。
その前にてめぇで死んでやってる。だから、わからないのだ。誰も、「ひとりで生きて行けない」という恐怖をだれも本当は知らない。

特効薬

なんてさっぱりしていて、いいのだろうか。

曇り空はだんだん暗くフロントガラスに迫るのにこの車が吐き出す排気にはラメが混じっていてキラキラしてんだ。きっと。

なるべく沢山深呼吸をして汚れた肺をきれいにするみたいにいい匂いをたべる。

石鹸を泡立てるみたいに手のひらは体温をまさぐる。

冷たい空気が小さい隙間から流れ込んで、おしゃべりの止まらない舌を乾かしても潤うのはビールのせいではない。
まるで私は犬のようで、あいつは猫みたいだった。

欲しい理想が手の届くところにある。なりたい理想に近づいた夜。

ただ、これも私の想いがそうさせた幻想だっていつか落胆するのだと野良犬みたいに身を硬くした。あいつだって野良猫だ。だけど毛を逆立てもせず威嚇の声をだすわけでもなく、地面にころがって腹を見せた。

やべー。罠にはまったのか?
猫のご機嫌をとるのは得意だと思っていたが。ちがうっぺー!
でも同じ目をしてる。同じ茶色の瞳をしていた。

もうどうにでもなってしまえ!

あいされたい

あいされたい

あいされたい

あいされたい

おもいきり あいされたい

こわいくらい しあわせで ありたい

ほほに しみない うれしなみだを ながしたい

かみのさきから つまさきまで きらきらに ひかる おんなになりたい


わたしがいないと ないちゃう

いつまでも わたしに ふれていたい

わたしに まいにち あいたい こえをききたい

じんせいの いちぶぶん

からだの いちぶぶん


そういうふうに おもわれて あいされて さいごがきますように

そんな最期が、くれば、いいと思ってる。 

そして欝は永遠に

絶えず押し付けている自分のエゴ。決して受け入れない相手のエゴ。
いつか疲れてゆくのなら理解が出来なくても、知ってもらうこと、知ろうとすることは大事だと思った。違うことは当たり前で、違うことを否定するのではなくしたい。違うことで全てが終わるわけではない。

私は彼に愛されているんだろうか。
愛されるために素直になれているだろうか。
愛されるために彼の思う恋人像になる必要は無い。

傷つくのは嫌いだ。
私の思想を知っていて欲しい。
私はそこまで非常識ではない。
浮世離れしていようと現実的な考えもできる。それなりの良識をもって生きている。
わかっているよ。

わかっているんだ。
今の私が新たな生命を手にすることができないことくらい。
わかっているよ。
目に見える現実的なことは淡々と壊せる。

時間と共に排除されるモノ、時間と共に膨らむ想い。

あなたにはわかるだろうか。

女に生まれた人間の心の動き。
愛を乞う。ひとりで味わう身体の痛みに比例する心の痛み。
言葉など要らない。
ただ私の選んだ道にしばらく付き添っていて欲しいのだ。

あなたにはわかるだろうか。
どんなにがんばっても言葉に出来ないこの想い。


あなたはわたしを好きでいてくれているでしょうか。
あなたはわたしを大事に思ってくれているでしょうか。
あなたはわたしを愛してくれますか。
あなたはわたしをわかってくれますか。

願っているよ。
わたしのお腹は空っぽである様。

マニックグラフ

平穏はない。波形で示すとしたら決して平らで穏やかな線は描けない私の頭の中。現在はどうかと言うと、表示できないほど上昇傾向にある。しかし寝て起きたら地の底にラインが沈んでいる場合もある。数時間どころか秒刻みで落差の激しい線を描く私の頭の中。

テンションは三寒四温。誰かそばにいてくれればそれで取り乱さずに済むのだ。大切にされたい、認めて欲しい、私は生きている。髪の先から爪の一枚一枚、もっと言えば臓器の全て、血の一滴、細胞のひとつひとつを捕まえていてくれよう。

小さな鍵穴にそっと差し込んだのは細工した針金で、鍵穴よりも頑丈なその針金でめちゃくちゃにしてしまったらそのドアはもう二度と開かない。鍵穴より頑丈な針金よりももっと頑丈なドアは体当たりしてもただ壊れて余計に開かなくなる。
そのドアを開けたい盗人たちよ、子供だったころを思い出してみよう。終わらない愛で満ちていたころを思い出してみよう。
そのドアが滲んで見えたとき、私は盗人を迎え入れる。クラッカーを鳴らしシャンパンの栓を飛ばしてそれはそれは盛大に。
私の全てを奪うのならその位していただかなくては困るし、愛せない。なにより自分にしかいま興味が無いのだから。