欲情
なにもかもが心地よい。
久しぶりにきく声がBGMより強くやさしく、わたしの心をほぐしていった。
おぉ、ロミオ。なぜ、あなたはロミオなの。
そんな台詞をため息と一緒に吐き出したい気分だ。私が想うのはこの人だけだ。
凝り固まった頭の中、汚れきって呼吸困難な心の中全部綺麗になった。
元気の源?私が私に戻る時間?
わからないけど、わたしにはとても必要な人で、いつまでも言葉を交わしていたい。何も望むものが生まれないとしても、私が全部のスイッチをOFFにしても煌々としていられる。
周りがなんと言おうと、わたしには必要なんだ。
周りが問題とすることをわたしは問題としていない。
言葉で表現するならわたしは妹のような存在なだけで、SEXをしたのに、とかそんなのはなんの問題でもないのだ。はじめから愛だとか恋だとかそういうものは超越して人として好んでいるのだ。
当時繰り返し思っていた「あきらめない」という感情はもうない。
あきらめないのではなく、ただそばにいたいからわたしからそばにいくだけだ。
細い肩も、襟刳りからのぞく白い肌も、大好きな手の形も
わたしから手繰り寄せれば一気にこの胸に抱くことができる。
触れたい。
あのころのようにとは思わない。
ただ触れたい。
それ以上をのぞまぬ覚悟はできている。
それ以上をのぞまぬような距離感でときどき触れ合えればいい。
でも、やっぱり、大好きなんだ。
苦しくなるほどの想いではない。じわーっと温まるこの感じが必要で必要で。
わたしのすべてを潤すひとつのアイテムとして、人として。
最後なんて考えず、
目も声も、ちゃんと向き合ってくれるその体全部がほしい。
大好きなんだ。