Last Kiss

昔もそうだったので、きっとしないと思っていたのに、私の唇を先に食べたのは彼でした。拍子抜けしてただ受け止めるだけで精一杯だった。しばらく見ない間にやせ細った体にもっと触れたかったのにしたいことの半分もできないまま夜が終わった。
それでもしばらく私の髪を撫でていたことや、昔はなかった私の手をしきりに探る仕草は何か変化が起きたっていうことなんだろうか。過去とはもう切り離していいのだろうか。

唇から目が離せない。
どーしてそんな声がでるのか、言葉が出るのかいくら凝らして見ても何もわからない。

本当に今夜、私は2回目の意思表示をしようと会いに行ったのに邪魔が入り熱いまま気持ちがしぼんでいった。

見惚れていたのに「見学してる」と言い張った。
帰りたくないのに「帰る」と言い出して何度目かでやっと彼に背中を向けられた。

時々不安になる私の思想を本当に大丈夫だと安心させてくれる。
嫌いになる日がくるんだろうか。
嫌われる日がくるんだろうか。

彼を崇拝する故、思考の形が似てきている。どうせなら抱きたくないくらい嫌われてしまいたい。どうせなら一歩も彼の心に入り込めないようになりたい。
なにかひとつ知ることが増えるたびに溺れてる。
決して彼好みになろうとしているわけではない。私の中に根付いた悪しきモノが善のカプセルになって君に、あなたに、激しく弾け飛んでいるだけなんだ。

あふれてるそれを出し惜しみはしない。それは私の愛そのものだ。受け取ってもらえぬのなら君も、あなたも、それまでの関係ということである。
彼はそれを何倍にもしてまた私に分けてくれる。その交換だけで満足できなくなるのは少し傲慢なのかもしれない。