マニックグラフ

平穏はない。波形で示すとしたら決して平らで穏やかな線は描けない私の頭の中。現在はどうかと言うと、表示できないほど上昇傾向にある。しかし寝て起きたら地の底にラインが沈んでいる場合もある。数時間どころか秒刻みで落差の激しい線を描く私の頭の中。

テンションは三寒四温。誰かそばにいてくれればそれで取り乱さずに済むのだ。大切にされたい、認めて欲しい、私は生きている。髪の先から爪の一枚一枚、もっと言えば臓器の全て、血の一滴、細胞のひとつひとつを捕まえていてくれよう。

小さな鍵穴にそっと差し込んだのは細工した針金で、鍵穴よりも頑丈なその針金でめちゃくちゃにしてしまったらそのドアはもう二度と開かない。鍵穴より頑丈な針金よりももっと頑丈なドアは体当たりしてもただ壊れて余計に開かなくなる。
そのドアを開けたい盗人たちよ、子供だったころを思い出してみよう。終わらない愛で満ちていたころを思い出してみよう。
そのドアが滲んで見えたとき、私は盗人を迎え入れる。クラッカーを鳴らしシャンパンの栓を飛ばしてそれはそれは盛大に。
私の全てを奪うのならその位していただかなくては困るし、愛せない。なにより自分にしかいま興味が無いのだから。