2006-07-28 愛の売り時 くちびるを食べあうキスなんて。あなたの顔を包むように垂れた私の長い髪で、世界は遮られた。髪の隙間から洩れるわずかな光を吸い込むあなたの瞳に、夢中になっている私が映る。黒い小さな二人の世界はあっという間に現実に引き戻される。汗という雨が二人を濡らしても、心までは滲みない。身体は砂漠。繋ぐ手が灼熱でも、幻。ゴムの膜が魅せる夢の時間。粘膜も体液もオアシスではなかった。笑顔で交わした言葉が今日も私のお金になる。