忘れる唄

あの日あなたは言いました。その日あたしは強く思いました。


「もう、二度と連絡をしない」
裏側に少しの期待を副えて、きっとあなたは戻ってくると。きっとあなたはあたしを捨てられるわけがないと。きっとあなたはあたしが思う以上にあたしのことが好きなんだと。だから、きっとまた寂しくなればあなたはすぐに連絡してくるに違いないと安易に思っていた。

毎日くれていた、『頑張れ』や『お疲れ様』・・・『お前が大事やねん』や。小さな口実と共にあなたの言いたいことはいつも一緒だった、そんなメールもない。いつの間にかあたしはあなたの「おやすみ」を確認しないと眠れない人になってしまいました。あなたのせいだと、なんとなく責任を押し付けたい気もします。でも、そうしてあなたを傷つけてしまったのならとても謝りたい。消えて、ぽっかり穴が空いてからでは遅いことくらいわかっているけどでも、あたしは・・・初めて出会った日に寂しくて毎晩泣いていると話した日にあなただけがあたしが泣く本質を理解してくれたんじゃないかと今頃気づいた。

眠れない夜は、あなたを考えてしまうようなだめな子になってしまいました。


でも、あたしはあなたが欲しいわけではなくて、だれが欲しいわけでもなくてしばらく眠ってしまえば目の前に突然現れそうな寒い冬が怖いのです。だから誰でもいいからそばにいて欲しいのです。


一人ですごす、冬が。怖いだけ。
マフラーよりも彼の腕を。手袋よりも彼のコートのポケットを。

温かいココアよりも、白い息を吐きながらする、乾いたキスが好き。
あなたは毎晩あたしを想い眠っているだろうか。
あたしの名前を携帯のスクリーンで何度も眺めるだろうか。

あたしと同じ気持ちでいるだろうか。