夢じゃない
たしかに、同じ四角の中で暮らした。
苦しかったあの日ぎゅってしてと言ったら応えてくれた。
息が少し白い四角の中で笑っていた。
ときどき体温を交換しながら眠ったことを、今でも思い出話にして蘇らせる。
二人でいた一日のうちの数時間がなにも嘘じゃなかったって、ときどき思い出話をする。
ふっと、あの人を見るときっとあれは憧れからみた私の夢だったのかもしれないと思う。
でも、決してあいまいにはしなかった。
本当だったんだと、あの人自身がしぼんだ私に息を吹き込む。
また戻りたい。今度は永遠になるよう、そこへ行きたい。
二度と私がしぼむことがない永遠が欲しい。
きっと笑って暮らせる。
紐の端と端を結ぶだけのこと
固く結んだ紐を解くこと
簡単なことができないのはどうして。私は逃げてるからだろうか。