YUKI

なくしたものにだけ 愛しくなる わたしの悪いクセ
起こりもしないこと 想像して 泣いてみたり


たしか、このCDを買ったとき、あのバカ野郎は風邪を引いていて一緒に住んでいなかったから仕事帰りに直行した。看病しにいったんだ。一通り面倒が見終わってひまだったので彼の家でヘッドフォンで新しいこのCDを聴いた。「キスをしようよ」というタイトルでサビになるとタイトルを繰り返す。彼は眠ってると思って、ルンルン言いながら「ねぇ〜、キスをしようよ〜」とだけ繰り返し歌っていた。
むくっと起きたかと思ったら、ぶちゅぶちゅ何回もキスをしてくれた。嬉しかった。にやけた顔のまま数日過ごしてた。
こうして、ものや場所、音楽が思い出に溶け込んでいていろんな呪いに縛り付けられてあたしは生きているのです。


嫌いになれたらいいのに。家に一日いると余計なことを考えてしまうということが発覚しました。