続・罪な願い

何もしてあげられないんだ。ごめんね。

大きなテーブルを囲んでゆっくり食事をするなんて初めてかもしれないね。
ご機嫌な君はお喋りに、食べたり飲んだり、とても忙しく口を動かす。あたしはそんな元気な君を見ているのがとても幸せ。

あたしのカバンにはきれいに包装されたCK-beが入っていた。何もしてあげないつもりで欲しがっていた香水を見に行って喜ばせようと思っていたのに手に取っていたのは罪な香りがするCK-be。なぜ罪なのか知らずに受け取った君は期待をしていなかったせいもあって大きく喜んでいた。少しずつあの人に染めようとしているあたしは悪魔だ。
今朝一緒に目が覚めて、
「なぁ、これ開けて」
甘える君を本気で愛しく思った。

君に、部屋に広がる香りはやっぱり罪だった。蜜の香りに誘われて花につく蜂みたいに思わずあたしは君を抱きしめた。
深く呼吸をして香りをうかがう・・・にわかにあの人の香りがして目を閉じてさらに力を込めて思い出に抱き付いた。
「どうしたん?」
あの人とは違う声で覚醒されて、君にキスをした。
『誕生日おめでとう』