ねぇ、ばーちゃん。

7月で実家に帰ると言っていたのに結局帰っていません。

まぁ、いろいろとあるのですが最初の予定では7月だったのが延長になり、7月に入ったとたん母はすぐにあたしに連絡をしてきたのに、今回は何も連絡をよこしてこない。あたしが実家に帰るためには帰るための約束を守らなければならない。でもその約束はまだ果たされていないのだ。
もうちょっと。
もうちょっとなんだけど。働いて、パチンコでうまいこと返済してるものの、やっぱゼロってのは難しいね。こんなときうちの母がもうすこし頭のやわらかい人だと助かる。
母は育ってきた環境がまるで絵に描いたような清く美しい世界でお金持ちではないけど不自由なく一般的な、無難な道を辿ってきた人だ。
いくら世の中が便利になろうとも決して手を出さない。よく言えば古風で悪く言えばただの堅物。
あぁ、神様…ていうかおばあちゃん。
確かに大変なことをしでかしてる自分のことは痛いほどわかってる。けどさ、あたし家に帰ったほうが全然頑張れる気がする。
啖呵きって家を出た以上、甘えて帰りたいなんて言えないんだ。

「うちで頑張りなさい、帰ってきて頑張りなさい」って言われたいよ。

黙って今、実家に残った家族の前に現れるなんて勇気、あたしにはないもの。
今の恋人だって…ただ別れへカウントダウンしているだけであたしにとってはなんの励みにもならない存在だよ。
お盆に実家に帰るって、お前も一緒に行こうなんてはるか遠くに希望の光が見えた気がしたのにこんなギリギリになって「ホテルとれよ」だって。
え?

あー…ただただ落胆。
派手派手な夏服しかないから、だから絶対に手に取らないような清楚なワンピースを買ったのに、オークションに出品してしまった。
苦しいくらい彼に愛されるか、暖かく迎えてくれる母か、どっちかあたしに頂戴よ。
この暑さと帰る場所があるのに帰れない、愛されたいのに愛されない悲しみいっぱいでホントどうかなりそうなんだ。

ばーちゃん。