I NEVER STOP EATNG

だめだ。書き直しだ。

なんともいえない悲しみに襲われているのです。どんな風に何が悲しいのかわからないのだけど、矛盾した自分の感情と理解不能な行動を起こす恋人に悩まされているのだ。
あたしと彼は話も合う、趣味も一緒、好きな音楽も一緒とにかくいっしょにいて心地いいのに瞬間瞬間で「大」が付くほど彼のことを嫌いになる。ていうことは、そもそも合わないんじゃないかって思うのだ。
あたし、洋服なんて着れればなんでもいいし、もともとブランド志向ではない。人にどう思われようとあたしはあたしだし、その個性を受け入れてくれる人たちと付き合っていければそれでいいのだ。最低限の生活と愛で満ちていれば幸せなのに。そういう面で彼はまったく逆の人だった。
ナルシストとも言うべきか、ええかっこしいだ。先日あたしのアネゴといえる友人に会わせ飲んでいたところ、しきりに自分のプライドをむき出しにしていた。あたしは顔から火が出るほど恥ずかしかったのだ。アネゴは終始困惑していた。
懐具合にかまわず自分のほしいものすべて買いあさり、給料日まで3週間もあるのに生活ができないほどになってしまう。おまけにあたしより多額の借金を背負っている。

二人で幸せな日々を過ごせるように彼のどうしようもない癖を修正してあげようとあたしは必死だった。表向きは励まし持ち上げご機嫌をとり、裏はどうにか良い方向に向かないものか試行錯誤していた。しかし、彼は空しくもこう言い放った。
「都合」だと。
すべてあたしの都合に合わせていると。あぁ、なんて悲しく切ないんだろうか。では、内に秘めている不満をぶつけてしまったらそれこそ世話女房か、母親のようなウルサイ存在になるんじゃないか。だからあたしは我慢してどうにか軌道修正してあげようと励んでいたのに、だ。



彼の口癖は「ロック」だ。
ロックで成功している男たちはこんな薄っぺらなことは発言しないだろうし行動もしない。きっと貧乏しながら努力したからこそ後ろに続く者がいるんだ。
服装でもない、地位でも名誉でもない。ひたすらな努力だ。自分の他の欲望を満たすことばかりしていたら本当のロックなんてお先真っ暗だと思うんだ。
こんな駄目な男を好きになってしまった以上できる限りのサポートをしてあげたいのに都合だと簡単に片付けられてしまってはあたしもただただ悲しい虚しい切ない気持ちになるだけだ。
思いは膨らむばかりでひとつも彼に伝わらないこのもどかしさ。例えば一気に伝えてしまったらただ彼の機嫌を損ねるだけでまたヨイショするのに膨大な精神力を使うだけ。そしてあたしは磨り減って、しくしく言いながら涙の味のパンをほおばり、悲しい気持ちと一緒に便器へ吐き出すのだ。

好きだから、好きなのに…交錯して言えないだけなの。