I'm in LOVE(Guest story)

honeymimics2004-09-15

帰宅してからというものの、首が痛くてしょうがない。
私の仕事はそんなに肉体労働ではないし、一体この痛みはなんなのか水をひとくち、ゴクリ飲んで考えた。首をさすりながらチカチカしてる蛍光灯を見上げて思い出した。

あ、キスしたな。

背の高いあの人から強い圧力でキスをされた。思わず「んーー」と声にならない声を上げてしまうほど。いつも強引で痛いくらいの愛情表現は私の心に細く小さい引っかき傷を残す。私よりもだいぶ大人なのにやることはまるで幼くて、キスをされた時も顔は真剣なのにとても下手だった。笑ってしまいそうになる。きつく私を抱くから伝わるあの人の鼓動は尋常じゃない、そんな響き方。体全部で感じ取れるあの人の感情を私は受け止めるつもりは無い。首も体も心も痛いだけなのだ。それでも隙間を埋める応急処置でその腕の中に駆け込んでしまうことがある。私の人懐っこさは大罪だ。

私はたった一つ、私なりの愛情表現がある。とても地味で小さくて誰にもわからないだろう。

好きな人の顔に手で触れる

きっと彼は気づいていない。私はあの人に一切触れないが、彼のことは愛しすぎて確かめるように顔に触れる。それが唯一の幸せであり、精一杯の愛の告白なのだ。